現在の位置
法楽寺の別院、正楽寺(しょうらくじ)は、滋賀県は栗東にある真言宗の寺院です。山号は碧雲山(へきうんざん)、院号は霊仙院(りょうせんいん)です。
本尊は阿弥陀如来で、左に観音菩薩、右に勢至菩薩を配した、いわゆる阿弥陀三尊です。阿弥陀如来の本願を成就すべく、観音菩薩が慈悲を、勢至菩薩が智慧をつかさどられて脇に控えられております。
正楽寺の歴史は古く、藤原時代にまでさかのぼることができます。しかし、このお寺にも栄枯盛衰がありました。ごく最近でも、住職不在が長く続いたため、荒れるにまかせているよ うな状況だったのです。
しかし、平成14年5月より、正楽寺に法楽寺住職が入寺。毎朝夕の勤行を営み、人々の力添えをいただきながら、現在お寺がよみがえりつつ あります。
当寺の本尊阿弥陀如来も、「よみがえりの阿弥陀さん」、「よみがえった阿弥陀さん」と呼ばれ、地域の方々に親しまれております。
平成19年12月、建築用語で「向拝(ごはい)」といわれる、堂の正面階段上に張り出すひさしを増築しました。これにあわせて階段を改修。正楽寺の本尊、阿弥陀如来さまのお参りがしやすくなりました。
境内は住職が入寺した平成14年前にくらべるとすっかり様変わり。平成20年3月の春季彼岸には、「修行弘法大師像」が建ちます。
正楽寺の所在する地名「霊仙寺」、また当寺の院号の「霊仙院」は、平安時代初頭に弘法大師や伝教大師と共に、遣唐船で中国に渡られた「霊仙(りょうせん)三蔵法師」にちなむものです。
ところで、「三蔵」とは、本来「経蔵・律蔵・論蔵」との三つに分類された、仏教聖典の総称です。
しかし、中国において、経典などをサンスクリット(古代印度から今に伝わる聖なる言葉。一般に梵語と言われる)や中央アジア言語などから、漢語に翻訳する僧侶、またその三蔵の内容に通じている学徳優れた僧侶に贈られる称号ともなりました。 これを正式には「三蔵法師(さんぞうほうし)」と言い、略して「三蔵」というのです。
一般には、特に『西遊記』などで有名な、「玄奘(げんじょう)三蔵法師」が有名かと思われます。玄奘は、深く仏教の教理に通じ、また多数の経典を、命がけでインドより中国に持ち帰って翻訳されたので、三蔵法師の称号をもって親しまれているのです。
さて、この正楽寺に縁ある「霊仙三蔵」は、なんと日本人で唯一、三蔵法師の称号を贈られた方です。さきほども申しましたように、霊仙三蔵は、弘法大師空海や伝教大師最澄らと共に、遣唐使船で中国に渡っ た僧侶の一人でした。
伝教大師は予定通りの数ヶ月後に、弘法大師は二十ヶ年の留学期間を無視し、密教を伝えるために敢えて二年足らずで日本に帰っています。
しかし、霊仙は、留学僧(るがくそう)の任期である二十年間余り、中国という異国の地に留まって苦学し、仏教の研鑽に励まれたのです。結果、霊仙は三蔵法師の称号を中国皇帝より贈られ、日本人でその称を得た、唯一の栄誉ある僧となったのです。
しかしながら、霊仙三蔵の最期は、五台山にて何者かに毒殺された、と伝えられており、日本唯一の三蔵法師の最後は非業のものだったようです。
過去に日本人の三蔵法師がいたことは、つい最近になってようやく世に知られたことで、今も世にほとんど知られていません。そのような不世出の高徳と、栗東は霊仙寺の地に建つこの霊仙院正楽寺は、深いゆかりがあるようです。
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