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ここでは慈雲尊者がいかなる生涯を送った人であったかを知って頂くため、尊者の生涯をご紹介致します。
尊者の生涯についての書籍は、諸学者が著したものが、現在も若干出版されております。それらのほとんどは、『正法律興復大和上光尊者伝』という尊者の伝記を基礎資料としつつ、その他の尊者の著作を用い、さらに著者自身の研究成果から私的見解をふんだんに盛り込んでいるものです。その中には、著者の見解が全面に出すぎ、典拠も示されていない場合などもあるため、不満を憶えるようなものもあります。
ところで、『正法律興復大和上光尊者伝』なる尊者の伝記は、長谷宝秀編『慈雲尊者全集』(思文閣出版)の首巻(35項〜47項)に所載されてはいるもので、それ単体としては出版されたことはなく、また原文が漢文である為に、読む人が非常に限られてしまっているのが現状のようです。
そこで、ここで『慈雲尊者全集』所載の『正法律興復大和上光尊者伝』を底本とし、その全文を16ページに分割して掲載。これに読み下し文と現代語訳ならびに語注を併記し、これをもって、尊者の生涯をご紹介しております。また、読んで頂きやすくするために、適宜段落を設けておりますが、これは当サイト制作者によるもので、原文に段落は設けられておりません。
また、現代語訳といっても、出来るだけ逐語的に、原文の形を崩さぬように行ったため、文章としては無味乾燥の感を受けるものとなってしまったかも知れません。さらに、儒学が旺盛であった当時に用いられた漢学ならではの表現や、仏教の術語は無理に現代語訳することはせず、そのまま掲載し、その都度に仮名や語注を付記いたしました。これが、いささか難解に思われたり、煩瑣に感じられる方もあるかと思われますが、以上理由によるものですので、ご容赦ください。(語注には、当サイト管理人の私的見解を多分に含む場合があります。)
これからご紹介する『正法律興復大和上光尊者伝』は、慈雲尊者の直弟子であった明堂諦濡(みょうどうたいじゅ)律師によって、尊者の滅後二十年の後に著されたものです。この書は、尊者の生涯と事績が簡にして要をとり、しかも尊者に対する敬意に満ちた言葉によって綴られています。
尊者の生涯における小事件、またはそれら一々に対する尊者ご自身の感慨などは、尊者のその他の著作、または弟子達が残した書物に散見されますが、その一生涯を通して知るには、この書が最も適した唯一のものです。
もっとも、現在諸学者によって判明した尊者の生涯と、この尊者伝とを比較した場合、やや年代の誤差や期間の長短などの食い違いがあるようです。ですから、全面的にこの書の記述を信用することは出来ませんが、しかし、それでも尊者の生涯を知るのに、最も適したものであることに変わりはありません。
きわめて残念なことながら、尊者生誕の地、ここ大阪においてですら、現在ほとんど知られなくなってしまった慈雲尊者の生涯と事績に、直弟子であった明堂諦濡(みょうどうたいじゅ)律師によって綴られたこの書により、閲覧していただける皆様に触れて頂きたいと存じます。そして、また、江戸中期の日本にこれほど偉大な僧侶が存在したことをご記憶頂ければ幸いです。
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